■過去問の模範解答には気をつけよう。
過去問の模範解答には気をつけよう。
先日、ブックオフで某出版社の分厚い「中学入試問題集」が激安だったため、
つい買ってしまいました。
以前もそんなことがあって買ったところ、別冊の模範解答がついていませんでし
た。そこで今回はそれを確認したうえで買ってきました。
そして自室でぱらぱらとめくっていると手書きで解答を書きなおしているところ
が何カ所かありました。「あ、ここも! こっちも」と見ていると5,6校の模範
解答を訂正していました。(この直した方の解答はどこからもってきたのかはわか
りませんが)
この問題集には100校以上の問題が載っています。
このうち受験を考えているのは5、6校でしょうから、実際にやってみたほとん
どの模範解答に修正箇所があったということではないでしょうか
記号問題だけでなく、ひどいのは漢字書き取り問題まで違っていました。
模範解答A「せつなくなった」、B「うれしかっかった」
記述問題ではたとえば学習院女子中学で何かの理由を答える問題でしょう、次の
ようなものがありました。
元の模範解答=・・・を思いだし、せつなくなったから。
訂正した解答=・・・笑ってくれて、うれしかったから。
となっていました。
「せつなくなった」と「うれしかっかった」ではぜんぜん違いますよね。
和洋国府台女子中学の問題では
元の模範解答=・・・大きなあゆも小さなあゆもいるから。
訂正した解答=・・・あゆが浅いところを泳いだり深いところを泳いだり
しているから。
となっていました。
これまた全然ちがいます。
私も文章を読んではいないのでどちらがいいのかはわかりませんが、私が言いた
いのは、このように市販されている入試問題集(過去問)の模範解答は、学校が
公表しているものでない限り、すべてをうのみにしてはいけないということです。
受験生は過去問に取り組んでいることと思いますが、市販の問題集の解答には間違いもありますので、気をつけてくださいね。
『うろたえる』と反対の様子を表している言葉は「淡々と」? 「悟った」?
中学受験関係で解答つきの過去問を販売しているのは、関東ではK社、M社の二社が、高校受験ではK社、T社、O社の三社が代表的なところとしてありますが、以前、中大杉並高の選択肢問題(四択)で難しい問題があったので三社の模範解答を見比べてみると、三社とも答えが違っているということがありました。
なかでも良心的なのはK社で、解説をみると「明確な答えは出しえなかった」と書かれていました。
一例をあげましょう。
平成24年度の明大中野中学の模範解答をK社とM社とで見比べてみた場合、2問で異なる解答がありました。
一つは「『うろたえる』と反対の様子を表している言葉を本文から抜き出せ」という問題ですが、K社の解答は「淡々と」、M社は「悟った」と書かれていました。
私は「淡々と」のほうがいいとは思いますが「悟った」もわからないわけではありません。(もしかしたら両方正解にしているかもしれません。出版社に配慮。)
また次のような問題もありました。
北海道の旭山動物園で「ある学者から、なぜあんな老いぼれた
動物やけがをしている動物を展示するのだという声があった」が、
強い批判がある中でこのような「展示」を続けているのは、どの
ような考えによるものか。本文中の言葉を用いて答えなさい。
これに対する解答例はつぎのようなものでした。
K社=北海道の野性動物がおかれた状況を知らせる必要があるという考え。
M社=動物も人間も命は等しくかけがえのないものであることを伝えたいという考え
ね、ぜんぜん違うでしょ?(あえてどちらがいいとはいいません。出版社に配慮。)
このような例は枚挙にいとまがありません。
たとえば同じく平成24年度の駒場東邦の問題に次のようなものがありました。
点線部A「ぶーんと鼻をかんだら」、点線部B「鼻をちんとかんで」と
ありますが、この二つの表現からうかがえる気持ちの違いを説明しなさい。
【模範解答】
K社=Aは鼻水が止まらないほど悲しいが、Bは涙ぐんでしまうほどうれしいという違い。
M社=真美は、Aでは悲しみをふっきろうとしているのに対し、Bでは親心に感謝している。
どうでしょう?
Aがまったく違いますよね。
M社の解答例を基準にすると、K社のほうの解答例はただ悲しんでいるだけでそれをふっきろうとしていることが書かれていないのでバツということになってしまいます。(ここでもどっちがいいとはいいませんよ。配慮していますから)
過去問だけではありません。
塾の採点基準にも「なぜ?」と首をかしげたくなることがときどきありますよね。
記述問題で、ただ「5点減点」と言われてもどうして減点されるのかがわからなかったら、次にいかすことができませんよね。
採点で迷ったらどうぞ私のところに送ってくださいといいたいところですが、ごめんなさい、今は受講生で手いっぱいです。