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■中学生で古文が苦手だと感じている人へ。

この時期に入試を意識して伝えておきたいこと3つ。

 1 試験時間が足りず、空欄の多い人へ
 2 過去問の模範解答には気をつけよう(まちがいがたくさんあります)
 3 中学生の古文

この1と2はすでにお伝えしましたが、今日はこの3「中学生の古文」について
です。

悩む女子学生

中3生のほとんど全員が「古文は苦手」「古文ができない」と感じているだろうと思うのです。

今日の記事が参考になれば幸いです。

中学生の古文

まず私は、中学生に対しては「古文なんてできなくて当然だ」といいます。

なぜなら、高校生は古文単語を数百覚え、文法を理解し、古典常識を身につけたうえで読解練習をするのですが、中学生はそういう基礎的なことを一切やらずにいきなり「はい、読みなさい」「はい、解釈しなさい」とばかりに試験に出題されるからです。

学校の定期試験であれば、授業で一度やったことのあるものが出題されることが多いのでなんとか得点はできるかもしれませんが、模擬試験や入試問題では初見の文章が出題されます。

それで内容を理解しろというのは多くの中学生にとって無理な注文です。

ですから、中学生の古文は「わからなくて当然」、ここからスタートしましょう。
少しでもわかるようになれば、万々歳です。

とはいっても入試に出題されるのだったら、わからなくていいなんて言っていられません。

そこでいくつかの注意点をあげてみたいと思います。

中学生が古典をよむときの注意点

(1)話の流れに乗れ!
(2)わからない部分は飛ばせ!
(3)カンを働かせよ。
(4)粘れ。 

 以上、4点が古文の学習をふだんしていない中学生が古文を攻略する方法です。

(1)話の流れに乗れ!

次の第二文にある【ホンナーム】とは、何のことでしょう。

  世界中を旅してきた私はいろいろなところで現地の料理に舌鼓をうち
  楽しんでいた。
  ところが最後の夜に食べた料理があたったのか、ホテルに帰って
  何度も【ホーンナム】に行くはめになってしまった。

さて、もうおわかりでしょ?

答えは「トイレ」です。

このときに「ホーンナームって何ですか? わかりません」という子はちょっと
今後が心配ですよ。

「知らないからわからない」と決めつける思考回路ができあがってしまっています。
そして、思考を停止するくせがついてしまっています。

この言葉をしらないからといって「ホーンナームって何だろう?」と長時間
見つめていても答えは出てきません。

古文で言うと、【  】の部分には見たことも聞いたこともない、自分の知らない
古文単語があると考えてください。

あるいはそこだけ虫食いで字が読めない、
またはインクをこぼしてしまい真っ黒で読めないと考えてください。

それでも話の流れに乗れば何らかの言葉は推測で出てくるのではないでしょうか。

ところが古文の苦手な生徒はその流れを無視して、【  】の部分だけをずっと
見続けるのです。
いくら知らない言葉を長時間見つめていても知らないものはしらないのです。

英語でもそうですが、少々単語などわからなくても、文脈に乗って行けば自然に
解釈はできるということはよくあります。
しかし、その流れを断ち切ってしまい、そこで立ち止まって考え、答えを見つけようとしてもそれは不可能です。

こんなときは、その前の部分からの文章の流れを重視しましょう。

話の流れを重視しましょう。
頭を柔軟にしましょう。

平安時代

(2)わからない部分は飛ばせ!

 次の文を口語訳しなさい。

(源氏はその子夕霧を大学に入学させ)才ふかき師に預け聞こえたてまつりて・・・。

どうでしょう。難しいでしょうね。特に「聞こえたてまつりて」が。

これは難解な文章も数多い『源氏物語』の中の一節です。手元にあった大学受験用の問題集をぱらぱらとめくり、ふと目に止まった部分を取り上げてみました。

高校生になると「才」(ざえ)は常識古文単語として学習しますから「学問。特に
漢学。」ということは知っているはずです。

では、中学生はどうか。

これを、「才」という漢字から判断して、「才能」などと連想できればもう最高です。
「才能」とくれば、次は「才能(ふかき)師に預け」。これは「才能(豊かな)師」
などという語が文脈から想像できますね。

問題はこれからです。国語(古典)を苦手とする生徒は次の「『聞こえたてまつりて』が
わかりません。」と言います。

わからないのであれば、飛ばしましょう。考え込む必要はありません。無視しましょう。

古典の苦手な子は往々にして、どうでもいいような言葉、本当に些末な言葉に
ひっかかかってしまって、全体までをも自分でわからないものにしてしまう傾向に
あります。

上の例文では「聞こえたてまつりて」がわからなければ、そこを飛ばして、「才能
豊かな師に(・・・)預けて」と(・・・)の部分を飛ばして解釈できればそれで十分
なのです。

同様のことは、接頭語などにも多く見られます。

「琴をかき鳴らし」とあれば「『かき』って何ですか?」「『かき』がわかりません」
という言葉をよく耳にします。

わからなければ、飛ばしましょう。「琴を・・・鳴らし」であれば誰でもわかるでしょう。

「本をこわきに抱え」の「こ」がわからないからといって、全体までをもわからない
ものにしてしまう必要はありません。

このように、わからなかったらそこは「飛ばす」「無視する」という態度で構いません。大意だけをつかむようにしましょう。

(3)カンを働かせよ

20年以上前の私の教え子に、現在公立中学の国語の教師をしている女性がいます。

卒業後10年以上経ってからの彼女の回想に次のようなものがありました。

「私は『ひんがし』がわからなかった。先生に『ひんがしだぞ。ひんがし。ひんがし。ひんがしだぞ!』と何度も言われた。」と言うのです。

生徒に昔のことをいわれると赤面してしまいますが、もう20年近くも前のことですから、時効ということに勝手にさせて頂きます。

これは、ご存じ柿本人麻呂の

  ひんがしの野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ

という短歌が出てきたときのことです。

この初句の「ひんがし」が彼女はわからなかったというのです。

20年以上前の私も、今の私もおそらく何度も何度も口に出して発音してみるように言うでしょう。そうすると、自然にそれに近い言葉が浮かんでくるはずだと。

この歌の結句「月かたぶきぬ」にも同じことが言えます。「かたぶきぬ」という言葉は知らないときめこみ、わからないわからないと言っているようでは中学生の古文はきっと苦労することでしょう。

もちろん最後の「ぬ」に慣れていないと、「月がかたぶく」というふうにはなかなか連想できないのかもしれませんが、「月がかたぶく」と連想できた生徒はここから頭を固くしていてはいけません。

もう、ここは思い切ってカンを働かせ、その発音に近い言葉を連想するしかありません。何度も何度も声に出して発音してみることです。

「ひがし」なら知っているけど、「ひんがし」なんて聞いたこともないなどと、頭の中だけで理解しようとし、細かいことにこだわっていては、古文は読めません。

これは一例です。古文を読んでいれば必ずと言ってもいいほど、このようなことがあるはずです。頭を柔軟にし、「いいかげん」「てきとう」に読んでいきましょう。いつものカンで読んでいけば十分なのです。

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