■ことばとものごととの間には必然的なつながりはない。
ことばとものごととの間には必然的なつながりはない。
こんなことを突然言われても、「うん、そうだね」と納得できる人はいないでしょうね。
ことばは後から誰かがつけた単なる「記号」なのです。
あなたの名前も記号です。
あなたの名前がその名前である必然的な理由はないのです。
その名前にしなければいけない絶対的な理由なんかないのです。
どんな名前にしてもいいのです。
だからどうしようとあれこれ悩むのです。
ここに一匹の猫がいます。
それを日本人は「ネコ」と呼びますが、アメリカ人は「cat」と言います。
フランス人は・・・何と呼ぶか知りませんが、「ネコ」でも「cat」でもない他の名称がきっとあることでしょう。
このようにそこにいる動物は同じものなのですが国によって、あるいは言語によってそれを何と呼ぶか、その呼び方が異なっているのです。
それはその言語を使う人が勝手につけた呼び方なのです。
つまり、そこにいる動物と、それに与えられた名称とはもともと切り離されていたものなのです。
一人の新生児がいます。
この子に何という名をつけるか。
候補となる名前が書かれたカードが3枚あるとします。
「ケンジ」「ケンシロウ」「ケンジロウ」
さて、それにしようと考え、この中から1つをその赤ちゃんにくっつけて、それをその子の名前とします。
ここに一匹の動物がいます。
これを何と呼ぼう・・・「イヌ」「ズズメ」「マグロ」
そして、ある記号が付されてその動物の名前となります。
このようにもともとその名前と、その動物とは切り離されていたのです。
だから、動物だけを見ても名前の分からない人もいます。
同様に名前だけを聞いてもどんな動物だかわからない人もいます。
この二つがつながったとき、ようやく「理解」ができるのです。
言葉の「理解」とはそういうものです。
ことばとものごととの間には必然的なつながりはない。
これは外山滋比古さんの文章にでてくる有名なことばで、入試でも頻出ですよ。
しっかり腑に落ちるように理解しておいてくださいね。