■私たちは要約の中で生きている
漢字一字で今年を要約。
今年話題となったことばを選ぶ「新語・流行語大賞」のノミネート語30が先日
発表されました。
「おうち時間/ステイホーム」「ソーシャルディスタンス」「3密(三つの密)」
などの新型コロナウイルスに関連する言葉が半数を占めたとのことですが、
来月にはこれまた毎年恒例「今年の漢字」が発表されます。
今年で26回目を迎える「今年の漢字」ですが、過去に複数回選出された漢字が
2つあります。
最多は3回の「金」、次が2回の「災」です。
「金」は3回ともオリンピックの年です。
「日本が金ラッシュ」って「そんな毎回かい!」って思わずつっこみをいれたく
なってしまいますが。
今年も東京五輪があると、「金」だったかもしれませんね。
毎年のことですが、1年を振り返った時に「いい年だった」といえる人は少数派
でしょうね。
どうしても人は悪い方に目が向きがちです。
いつもは事件事故、災害ですが、今年は圧倒的に新型コロナ。
この新型コロナさえなかったらと思うことがたくさんあるでしょうね。
そこでこの一年を振り返ってそれを漢字1文字に要約してくださいというのが、
究極の要約問題ですよね。
私たちは要約の中で生きている
元朝日新聞論説委員の轡田隆史さんは著書『要約力』のなかで「あ、そうか、
わかった」と声を発したり、「あ、ひどい」と小さく叫んだりしたときの「あ」は
要約の「あ」ではないかといっています。
目の前に生起した現象を、瞬時のうちに要約した結果、もたらされたこころの
動き。それを要約した表現の最小のことばが「あ」なのではないかと。
そこから派生してあれこれ考えると私たちは要約の中で生きているといっても
過言ではないほどだと気づきます。
友人がちょっとしたトラブルを話しています。
私はいいます。
「ということは、・・・・・ということなの?」
これは友人のことばを自分なりの言葉にいいかえて要約しようとしています。
Youtubeを見ていたら、ある人は最初に「今日はこんなことを学べます」と宣言
していました。
またある人は最後に「それでは今日のまとめです」と言っていました。
Youtuberも要約をしています。
赤ちゃんが生まれ、名前が付けられます。
その名前には両親のいろんな思いがこもっています。
そのたくさんの思いをわずか数文字に要約し、凝縮したものが人の名前です。
詳しくは知りませんが、「花言葉」もその花自体と無関係につけられたものでは
ないでしょうね、きっと。
私は高校時代に隣の席の女子に「野田くん、あじさいの花言葉しってる?」と
言われて、はじめてあじさいの花言葉をしりました。
あじさいの花は咲きはじめてからだんだんと色が変化することから、花言葉は
「移り気」だそうです。
そこでも花の特徴やイメージが要約されています。
それで思い出しました。
大学生のころ、当時の彼女に手作り万年筆をプレゼントしたことがありました。
「この愛が万年つづますように」って。
一青窈さんの「ハナミズキ」にある「百年つづきますように」の100倍ですよ。
ロマンチックでしょ?
でもその万年筆はすぐに壊れて、私のハートもブロークンでしたが。
手作りだから修理できるかもとちょっと思っていたのですが、結局は修復不可能
ということでした。
話がそれていますが、私のいいたいことはプレゼントにも送り主の思いが
凝縮されていて、これも一種の要約といえるのではではないだろうかということ
です。
そんなふうにあれこれ考えると私たちは要約の中で生きているといっても過言
ではないですよね。