■指示語の考え方・手順
次の指示語問題ができますか?
<問題1>
千年のいのちを長らえてきた檜(ひのき)は材にしても 千年は
もたせなればならない。木には〔そういう力〕があり、〔それ〕を
生かすのが自分たち大工の使命である。
問1 「そういう力」とはどのような力のことか。
15字以内で答えなさい。
問2 「それ」が指すものを答えなさい。
⇒まず問1で「千年はもたせなければ・・・」と答えているようでは
今度そうとう国語力を高めないとかなりきびしいですよ。
ここを言い換えることが、この問題のキモです。
次に「ひのきは・・・」と答案に書き入れるのもアウトです。
〔そういう力〕の前に「木には」とあるのだから。
また質問には「どのような力のことか」とあるので
答案の最後は「・・・力」、または「・・・力のこと」とすること。
これは当たり前ですよね。
最後に文字数が「15字以内」と指定されているので
11~15文字で答えること。
以上の点に注意すると次のような答案ができあがります。
材にしても千年はもつ力(のこと)
(もちろん答え方の一例ですが)
次に質問2ですが、
まず一語で答えると「力」。
3文字で答えると?
「木の力」です。
ここまではできるでしょうか?
この「木の力」ができればあとは簡単ですね。
木のどんな力なのかを書き加えればいいのです。
木の千年はもつ力
もっと自然な表現にすると
木が材になっても千年もつ力
「もつ」を言い換えるなら
木が材になっても千年は持続する力
こんな感じでしょうか。
<問題2>(四谷大塚5年組み分けテスト)
死は生の終わりであると一般にうけとられている。生そのものを意識していない(であろう)いわゆる動物は、死の存在も知らない。人間のみが死を「発見」し、それゆえに死について悩み、思いめぐらし、雑誌の特集も組む。死の発見こそ、人間の成しとげたことのうちで、もっとも偉大なことであったかもしれない。
死は本質的には生物においてのみ存在する。社会や文明の死は、①それからの比喩にすぎない。けれど、生物においても、死は必ずしも生の終わりではないのである。
何気なく眺めている景色の中を、一匹のチョウがヒラヒラと飛んでゆく。それは平和な光景であり、またある見方をすれば、生の楽しげな表現である。だが、次の瞬間、チョウはクモの網にとらえられる。即座にクモがおどりでてきて、あっというまにチョウには死が訪れる。
②そのようなことは、自然を少し眺めていれば、何回となく目にすることができる。風にあおられて木から落ちた毛虫が、また近くの木にはいあがるべく、ヒョコヒョコと歩いてゆく。もう五センチで一本の木にとりつくというときに、一羽の小鳥が舞いおりてくる。毛虫はすでに、小鳥のくちばしの間にある。
こういうまったく予期されない、瞬間的な死を見ていると、いったい彼ら動物たちは、どうしてたいした恐怖も示さずに生きていられるのか、ふしぎな気もしてくる。③それはおそらく、彼らがまだ死を発見していないからだろう。もし彼らが死というものを知っていたら、あまりの恐怖に一歩も動けず、ほとんどすべての動物は飢え死にしてしまったかもしれない。
問一 ①「それ」の指す内容を4文字で考えて答えなさい。
問二 ②「そのようなこと」がさす内容を、16文字で抜き出して答えなさい。
問三 ③「それ」の指す内容を、文章中の言葉を使って、二十五字程度で答えなさい。
模範解答 (四谷大塚 5年組み分けテスト)
問1 生物の死
問2 まったく予期されない、瞬間的な死
問3 動物たちが、たいした恐怖も示さずに生きていられる理由。
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<問題3>
音楽に絵画、工業製品など、ヒトのつくり出すものに真に独創的なものはほとんど存在しないといわれている。ヒトの言動はもちろんのことである。いずれも過去に存在したものの焼き直しであり、大なり小なり模倣である。
実はヒト以外の生物も模倣する。まねすべきものがあれば、必ずといってよいほどまねされる。しかし、ヒトが「これをまねよう」と思って何かをまねるように、個体が何かを見て変化をするということはない。
そう思ったに違いないと信じてしまうくらいに、よくできていることもあるが、ヒトのまねと異なるのは、それが生物個体の意思によるものではなく、突然変異と自然選択の膨大な積み重ねによる進化の結果という点である。
問1 「そう思ったに違いない」とありますが、ここではどのようなことを「思ったに違いない」と言っているのですか。答えが「~思った。」で終わるように、「思った」主体も明らかにしながら、全部で30字以内で説明しなさい。
模範解答
ヒト以外の生物個体が、何かを見てまねようと思った。(25文字)
ヒト以外の生物個体が、何かを見て「これをまねよう」と思った。(30文字)
ヒト以外の生物が、何かを見て「これをまねよう」と思った。(28文字)
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