■「ぞうさん」の真実
誰もが知っている童謡「ぞうさん」
ぞうさん
ぞうさん
お鼻が長いのね
そうよ
母さんも長いのよ
これは誰でも知っていると思いますが、この最初の「ぞうさん、ぞうさん」と
いうのは誰が発しているのだと思いますか?
普通には「人間が像に呼びかけている」と思うでしょうね。
決して間違いではありませんが、この呼びかけは、他の動物、たとえば、
かばさんだとか、キリンさん、シマウマさん、あるいは鳥かもしれませんが、
とにかく他の動物が像に話しかけているものだという説もあり、
実ははっきりしていません。
たしかラサール中学の問題だったと思いますが、そんな問題をやったので、ここに記しておきたいと思います。
そして、この「ぞうさん」の内容はというと
ぞうさん、あなたのその変な長いお鼻は何?
どうしてそんなに長いの?
変な格好ね。変なお鼻だこと。
象の容姿(個性)を馬鹿にしている悪口なのです。
それに対して象はなんというか?
まずは「そうよ」と短く答えます。
この時点で象は、これがまだ悪口だと気づいていないという考え方もできますが、
私は、その非難をすべて受け入れた言葉が「そうよ」という短い返答だと考えたい
のです。
この「そうよ」という象の短い返答はすごく重い言葉というか、いろいろな意味が
含まれた言葉だと思うのです。
他の動物の自分に対する非難を受け入れ、しかもそれにひるむことなく、
「私はこういう姿なのよ。これが象というものなのよ。これで何か問題がある?」
ということを言葉短く「そうよ」という一言で反論します。
「これが私たち象の姿なのよ」と言うことで自分たちが象であること、
この姿であることに誇りを持ち、これが素晴らしいことだと、自分を受け入れて
いるのです。
そして大好きな母さんもこのようにお鼻が長いのよ(いいでしょ?)と言います。
個性=長所だと考え、自分の個性に自信をもって生きていく。
そのことは他の個性をも認めることになります。
自分と違うものを排除しようとする考えとは正反対です。
ところが、先の「ぞうさん、ぞうさん、お鼻が長いのね」という言葉を
象の個性を認めたほめ言葉だととらえることもできるのです。
(これだから国語は嫌われる)
でも、これがほめ言葉だとすると「そうよ。かあさんも長いのよ」は
象のプチ自慢ということになりますね。
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